“医療人”として働きがいを持って働くことを支援するメディア『ハコヤ』

ぐるんとびー

頭が疲れるけれど心は笑ってる。
ぐるんとびーのワクワクする介護。

施設
地域
職種

2021.04.30 掲載開始


殻を破りたい。
その思いが自分を成長させる。

「湘南って、故郷に似てるんですよね。海が近くて、穏やかで」

そう語る阿部茉輝が福島県いわき市を後にして湘南にやってきたのは26歳の時。OT(作業療法士)としての働き方に疑問を感じ、少し生き方を変えたいと思ったことがきっかけだった。

阿部茉輝
(写真)阿部茉輝/株式会社ぐるんとびー/作業療法士/福島県いわき市出身

「患者さまの退院がゴールということに違和感があったんです。私はもっと深く患者さまに関わりたいのに“OTの仕事をしていればいい”“OTなのに介護だなんて、プライドないの?”と言われこともありました。」

「ぐるんとびー」との出会いは、ショッピングモールでたまたま手にしたフリーペーパー。“地域を一つの家族に”という言葉が胸に飛び込んできて、PT(理学療法士)がご利用者と一緒にプールに入っている写真「ここまでやっていいんだ!」と驚いた。

すぐさま連絡を取って「まるでテーマパークへ行くようなワクワクした気持ちで」(阿部)、看護小規模多機能型居宅介護へ見学に。そこで目にしたのは、“こうであらねばならない”という縛りとは無縁の、自由な空間。マニュアルはなく、常に自分たちの頭でベストを考えて実行してみるという介護だった。それはまさに“お節介の集団”。

阿部茉輝

私がやりたかったのは、これだ!
阿部は迷うことなく「ぐるんとびー」に入職する。そしてすぐに大きな壁にぶつかったのである。

「なにしろ忙しいんです。朝の出来事が、夕方になって“昨日のことだっけ? 今朝のことだっけ?”とわからなくなるぐらい。ご利用者の生活を支えるって、それほどにも目まぐるしいことなんです。」

次から次へと想定外の出来事が発生し、そのつど、職員は自分の頭で考え、最善を尽くす。失敗したら、また考え、次の手を打たなくてはならない。朝から夕まで、その連続だ。

「だから頭がすごく疲れるんです。一日中考え続けなくちゃならない。」

阿部茉輝

その大変さこそ、自由であることの裏返し。自分の力量がさらけ出されてしまう怖さもある。阿部も入職してすぐに「自分の力量のなさを痛感した」そうだ。

だがそれこそが阿部の求めていた場所だった。誰も「なぜあなたがそんなことをするの?」「OTのプライドはないの?」と否定しない。間違った行動を指摘されることはあるけれど、阿部自身の取り組みや姿勢が否定されることは一切ない。

自己肯定感をもてずに働いていたのはもはや過去のこと。「ぐるんとびー」で阿部は、自分のやりたいケアが自由にできることに大きな喜びを感じている。

阿部茉輝

もちろん引き出しの少なさ、力量不足はいまだに痛感しており、早く殻を破って自分らしいケアを確立したいともがいている。
「OTであることを口にはしないけれど、OTとしてのスキルは必要になったらいつでも使えるという自信があります。それは私にとって、いざというときの伝家の宝刀ですね。」

人を支えるとは、
《覚悟》をもって向き合うこと。

阿部は「朝の出来事が昨日の出来事のよう」と語った。一方、看護小規模多機能型居宅介護のオープンとほぼ同時期に「ぐるんとびー」に入職した富安萌葉は「その頃の記憶なんてほとんどないですね」と笑う。猛烈に忙しいのは、誰もが同じだ。

富安萌葉
(写真)富安萌葉/株式会社ぐるんとびー/理学療法士/神奈川県川崎市出身

川崎市出身の富安は東日本大震災の支援活動をきっかけに、岩手県のリハビリ専門病院でPTとして6年間働いた。縁あって神奈川県に戻る際、新たな場とした選んだのが「ぐるんとびー」。病院で患者と接するうちに、退院後も含めて生活のすべてを支援したいという思いが強くなってきたことが、そもそのきっかけだった。

だが実際に看護小規模多機能型居宅介護でご利用者と暮らす中で、“責任はあるが正解はない”介護の難しさに直面する。

「看護小規模多機能型居宅介護は包括報酬ですから何でもできるし、やろうと思ったことがどこまででもできるんです。理想のケアを追求してもいいし、ご利用者の希望にも何だって応えられる。けれどそれをやると、今度はこちらがパンクしてしまう。今の私たちのキャパシティではどうしてもできないことがある。それが苦しいんです。」

富安萌葉

一緒に暮らすということは、ご利用者はここを終の棲家として求めてきているということだ。しかし認知症が進めば、手が回らずに特養などの施設に移ってもらわざるを得ない。そこには当然激しい葛藤があり、職員同士、ぶつかることもある。

「仕方ない、と割り切ることも必要なんです。一方で、何とかできないかという悔しさも当然ある。涙が出るほど辛いです。」

阿部が言ったとおり、ここは何でもできる自由な場所。それゆえに自分たちですべてを背負い、決断を下さなくてはならない。だから富安は言う。「覚悟がないと無理」と。

富安萌葉

「ご利用者の生活を背負うとは、そういうこと。その覚悟がないと、生活を支えることなんてできません。」

富安がそんな《覚悟》と向き合うことを決めたのは、代表の菅原健介の言う《分散》という言葉を知ったからだそうだ。

「介護も、貧困も、生活困窮も、自然災害も、《分散》することで被害は最小化されていく」

菅原健介のその言葉が響いたのは、富安が東日本大震災の支援活動に取り組んだ経験があるからかもしれない。

「私が覚悟をもってご利用者と向き合うことで、この社会の小さな穴を埋める存在になれれば」と富安は腹をくくれたのである。

富安が神奈川県へ戻ってきたのは、同性パートナーシップ制度を求めてのことだった。念願がかない、富安はパートナーとの暮らしをスタートさせる。そんな2人を祝福するため、看護小規模多機能型居宅介護では職員とご利用者が結婚式を開いてくれた。

富安萌葉

「アクセサリーを作ってくれ、バージンロードを一緒に歩いてくれて、ここまでやってくれるなんて感激でした。みんな家族だから、できたんだと思う。」

この手作りのセレモニーは、自分の人生を歩き出す富安の《覚悟》への祝福でもあった。

“やっと”と“まだ”の間にある、
“きっと”という強い意志。

18歳で結婚して出産。以来、スーパーやファミレス、事務など様々な仕事を続けながら4人の子どもを育ててきたスーパーお母さんが、細田亜矢だ。

細田亜矢
(写真)細田亜矢/株式会社ぐるんとびー/介護福祉士/神奈川県高座郡出身

「人と接するのが得意じゃなかったんですが、4人目が産まれてから、何か新しいことを始めてみようと思って」挑戦したのが介護職。デイサービスや老健、特養などで10年のキャリアを積んできた。自分でも意外に思うほど楽しく続けられたという。

そんな細田が「ぐるんとびー」に入職したのは、代表・菅原健介のTwitterで、デスカンファレンスのことを知ったのがきっかけだった。

「特養では入居者が亡くなって気持ちが沈んでも、翌日には切り替えなければやっていけませんでした。そうしたことへの疑問から、“ぐるんとびー”のご利用者との向き合い方に関心をもったんです。」

細田亜矢

“夜中のラーメン騒動”にも惹かれた。詳細は検索して調べて欲しいが、細田は「リスクを背負ってあげることを貫き、目の前の人の好きなようにさせてあげたいという覚悟に共感を覚えました」と語る。

そして入職して半年。細田は小規模多機能ホームでの日々を「やっと6ヵ月、まだ6ヵ月」と振り返る。

「とにかく決断力が求められるんです。今決めなきゃいけない、自分で決めなきゃいけないということの連続で、その決断力がまだまだ私には足りないと感じています。」

細田亜矢

介護職10年の細田であっても決断に迷うし、時に“間違ったのでは”と後悔することもあるという。もちろん介護に正解はない。やってみなければわからないこともある。それが介護だ。

「だからミーティングがとっても多いんです。ご利用者について話し合い、私の下した決断について話し合って、そこから新しいことを学んで次に活かしていくんです。」

たとえ失敗しても否定されることはなく、みんなでその失敗に学ぼうという土壌があるのだ。だから決断することがしんどくとも、着実に成長しているという実感が得られる。

「やっと6ヵ月というのは、やっと有給が取得できるようになったという意味です(笑)。大変だけど楽しい半年間でした。」

職員みんなでワイワイと味噌造りをした。辛いことがあったときも、辛いと正直に吐き出せた。そんなことの散りばめられた日々が楽しいと、細田は言う。

細田亜矢

「母が事故に遭ったという連絡が来て、どうしようと呆然としていたら、察してくれたスタッフが“早く行ってあげて”と声をかけてくれたんです。ああ、仕事を離れて行ってもいいんだと思えました。」

“まだ6ヵ月”という言葉には、もう何年もいると感じるほど職場の居心地がいいという思いが込められているのだろう。

上の子は22歳で、一番下が小学校5年生。

「“ぐるんとびー”のことは子どもたちにも話しているし、ぜひ一度のぞいてもらいたいと思ってるんです。」

家ではスーパーお母さんが、ここではもがきながらも輝いている。そんな姿を目にしたら、子どもたちはお母さんのことがもっと好きになるに違いない。

  • 本原稿にある所属先、役職等の記載は2021年4月16日現在のものです

ぐるんとびー介護職 募集要項

施設所在地①【小規模多機能型居宅介護】 藤沢市大庭5682-6パークサイド駒寄3-612
②【看護小規模多機能型居宅介護 】 藤沢市大庭5529-8 シャルマンコーポ湘南ライフタウン 1F
③【訪問看護ステーション】 藤沢市大庭5529-8シャルマンコーポ湘南ライフタウン1F
④【居宅介護支援事業所】 藤沢市大庭5529-8シャルマンコーポ湘南ライフタウン1F
施設区分小規模多機能ホーム、看護小規模多機能型居宅介護
募集職種介護支援専門員、介護福祉士、看護師、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医師
募集資格介護支援専門員、介護福祉士(介護職は無資格でも応募可)、看護師、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医師
※普通自動車運転免許あれば尚可。
雇用形態①常勤
②非常勤
業務地域で“ほどほど幸せ”だと本人・家族が言えるような環境に向けて、それぞれの業態・職種が毎日考え、行動し続けてていく地域支援活動です
業務①常勤の給与:詳細はホームページ参照
介護職・ケアマネ 年収300万円~540万円
看護職 年収480万円~(オンコール週1日以上)
リハ職 年収~420万円
※給与は能力・経験による

②非常勤の給与:
介護支援専門員 時給1,500円~2,000円
介護福祉士 時給1,200円~1,575円
介護スタッフ(無資格) 時給1,050円~
看護師、OT・ST 時給2,000円~

①②ともに処遇改善加算含む
募集人数①小規模多機能型居宅介護 1~2名
②看護小規模多機能型居宅介護 2~3名
③訪問看護ステーション 随時受け入れ(看護師9名、PT/OT14名、ST1名在籍)
④居宅介護支援事業所 2名(主任ケアマネ含め2名在籍)
勤務時間①小規模多機能型居宅介護
②看護小規模多機能型居宅介護
④居宅介護支援事業所 原則
9時00分~18時00分 夜勤:16時30分~翌10時30分(休憩4時間含む) *①②は24時間のシフト制、非常勤は短時間可

③訪問看護ステーション 基本:8時30分~17時30分
休日・休暇シフト制(相談可・柔軟に対応)年間休日113+5日(有給)
福利厚生・諸手当など通勤交通費:通勤手当支給(但し2万円/月上限あり)、マイカー通勤応相談引越し手当:10万円支給(湘南大庭地区への転居に限る/条件あり)子どもと通勤が可能な場合もあり夕食補助あり(1食 大人500円、こども100円)各種研修多数あり/年に1回のデンマーク研修あり(常勤希望者のみ)団地内に複数のスタッフが居住しており様々な助け合いがあります
社会保険健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険
Web» ぐるんとびー公式サイト
» 株式会社ぐるんとびーFacebookページ

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責任編集:桑畑 健/ライター:丹後 雅彦/撮影:大籏 英武

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