“医療人”として働きがいを持って働くことを支援するメディア『ハコヤ』

薬師台おはなぽっぽクリニック(医療法人社団 泰大会)/看護師

総合診療の理想を目指して
垣根や領域を軽やかに超えていく。

施設
職種

2022.05.23 掲載開始

患者を深く知ることから始まる

ハワイの言葉で「家族」や「仲間」を意味する“おはな”。成澤幸恵の弾けるような笑顔は、この街にぱっと咲いた“お花”のようだ。

「高校時代に看護師として働く友人の母を見て憧れたことがきっかけでした。今のわたしがそんな看護師になれてるか自信ないけれど、頑張ってるよとあの頃の自分に伝えたいですね」と微笑む。

成澤幸恵/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師/岐阜県出身
(写真)成澤幸恵/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師/岐阜県出身

岐阜県で看護師としてのキャリアをスタートさせた成澤が、夫の転勤に伴って青森を経て東京にやって来たのは37歳のとき。地元のクリニックにパートとして再就職し、その縁で出会ったのが院長の野口だった。

「チャラいお兄ちゃんだと思った」というのが第一印象だったそうだ。

だが成澤はすぐに気がつく。“チャラい”と感じられた若さからくる柔軟さ、軽やかさこそ野口の武器だということに。

「コロナの新しい検査法もすぐに採り入れました。身軽さが院長の持ち味です」
小さな体でテキパキと動く成澤の姿は、そんなスピード感によく合う。

成澤幸恵/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師

自身がフルタイムで働きながら3人の男の子を育てる母親でもあることから、患者とは子供の話でよく盛り上がる。世間話は成澤も大好きだ。そのコミュニケーションを通じて成澤は患者を深く知り、本音を引き出す。

「医師の前では言いたいことも言えないのが患者さん。だから私たちが“本当はこうして欲しかった”という気持ちを引き出して、医師にフィードバックします。それを素直に受け入れる柔軟さが当院の医師にはあるんです」

総合診療の意義について、成澤は次のように語る。

「胸が痛いと来院した患者様に、“この科では異常ありませんね”と帰宅させるのではなくて、“肺かな?心臓かな?骨かな?筋肉かな?はたまた皮ふかな?”と診断し、その日のうちに不安を解消してあげられます」

成澤幸恵/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師

一方でよくある症状をしっかり診ることも重要だと指摘する。

「骨粗鬆症のCTを撮ったら肝臓に腫瘍が見つかったことがありました。数百人に一人かもしれないけど、実際にそういうことがあるんです。だから私たちはいろんな知識を身につけておかなくちゃならない。市民病院にいたときは、別の違和感があれば別の科に診てもらっていました。ここは風邪も診れば目も診る。看護師としても、だから知識が増え、成長していけます」

別の病気が見つかった数百人に一人の患者が「知らない方がよかった」と泣き崩れることもある。そんなときに寄り添って話を聞き、心の言葉を引き出すのも看護師の仕事。
厳しい食事制限を続ける患者に「時には好きなものも食べたら」と耳打ちすることも。

「そんな一言が治療を長く続けることにつながったらと思うんです。患者様が本当に納得できることを大切にしたいですね」

看護師としてのセンサーを磨け

“おはな”からのハワイつながりではないが、看護主任の細川暁代はハワイに取り憑かれた看護師である。

「ハワイが大好きなんです。コロナ禍でもう3年も行けてないから、今度行ったらきっと泣いちゃう」

細川暁代/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師 主任
(写真)細川暁代/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師 主任

一時期はアルバイトでお金を貯めてハワイで数ヵ月暮らし、帰国してはまたアルバイトしてお金を貯めるという生活を繰り返していた。そのときにある人を介して紹介されたのが、薬師台おはなぽっぽクリニック。“嫌なら一週間で辞めればいい”と、アルバイト感覚での就職だった。

「朝礼で院長が、患者様の爪を切ってあげるのは大切なことですと話すのを聞きました。私も人の爪を切るのが大好きです。患者様の爪を切ってあげるドクターなんて出会ったことがなかったから、驚きました」

それがきっかけで細川は「6年も居着くことになった」という。

細川暁代/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師 主任

「患者様の顔を見ないでデータばかり見るドクターが少なくない中、当院では患者様を見て、その背景も見ようとします。爪切りはその象徴」と細川。
この患者は普段どんな生活をしているのか。どんな家族と暮らしているのか。今までどのように生きてきたのか。だから今は何を求めているのか。
そんなことを考えながら細川は患者と接している。その結果、センサーが磨かれていく。

「次第に大勢の患者様の中から“この人は要注意”と気づけるようになるんです。カルテにもその旨を記し、医師に伝えます。アセスメントプランもそこから生まれていきます」

看護師のセンサーは、医師にとっても重要な羅針盤。互いの信頼がそこにある。

細川暁代/薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師 主任

野口院長について細川は次のように語る。

「ノーと言わない人。怒らない人。例えば新しい検査方法があったら、否定せずにすぐに採り入れます。もちろん私たちはマニュアルは、患者様への説明は、コストはと準備に大わらわ。その結果うまくいかなくても私たちが怒られることはありません」

看護師に限らないことだが、人は誰でも失敗することで成長する。正しい道を覚えるには、間違いながら自分の足で歩くことが一番だ。
だからここには看護師の育つ環境があると、細川は感じている。

「私も美容内科の経験を活かして予防医療的なビタミン処方を始めました。いろんなことを試したいのに無理と言われ続けてきた方も、ここなら存分に力を発揮できるでしょう。もちろんそれには主体的に取り組む覚悟が必要ですが」

細川が時折「あー、ハワイに」と漏らすと、院長は「行ってきたら」と軽く答える。その思いがかなう日も遠くないだろう。

“医者らしい医者”になるために

院長の野口にはいま、密かな夢がある。

「奄美大島に、おはなぽっぽをつくりたいんです」

東京・町田に薬師台おはなぽっぽクリニックを開院して7年。医師として井の中の蛙にならないように、そして無医村で医療人として工夫することの大切さを心に刻むため、野口泰芳は定期的に奄美大島で数日間、医師として働いている。訪問診療に船を使うしかないような離島地域に足を運ぶうちに、次第に「おはなぽっぽをここにも」と思うようになったのだ。

野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長
(写真)野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長

祖父も父も医師という家庭に育った野口。祖父は70歳を超えても現役として24時間365日、“断らない医療”を続けた。祖父は外科医をベースとした総合診療を行っており、「循環器の医者は心臓しか診ることができない」と細分化された専門医中心の体制に懸念を抱いていた。整形外科医の父も内科が診られないとこぼしていた。

そんな言葉を聞く中、外科医としてスタートした野口は次第に“メスの持てる内科医”としての道を歩むようになる。つまり総合診療医だ。そして開院したのが薬師台おはなぽっぽクリニック。

「総合診療は総合内科じゃない。患者さんが怪我をしていたら治せなきゃいけないし、手術の経験も内視鏡のスキルも必要なんです。だからウチに来た医師は最初、みんなびっくりします。こんな小さなクリニックなのにこんな手術もするんですか、と」

野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長

最近、クリニックに新しく婦人科の医師が入ってきた。

「“医者らしい医者になりたいから”というのが、この先生が入ってきた動機です。だから婦人科という専門性を活かしつつも、総合診療医としてあらゆる患者さんを診るし、訪問診療もしています。他にも糖尿病専門医、精神科医、心臓内科医と様々なスペシャリストがいて、それぞれが幅広い患者さんを診ています」

広く浅くが総合診療ではない。広く深く、が野口の目指す総合診療のあり方だ。それは決して専門医制度を否定するものではない。むしろ専門医が現場で実践を重ねることでよりよい総合診療ができていくと考えている。

野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長

「もちろん1人で何でもできるわけではありません。医師も看護師も、お互いにできることを補充し合っています。別の科に行ってくださいと患者さんにお願いすることなく、クリニック内で内科の患者さんを整形の医師も診るということができています」

医療法人としての泰大会では、野口の父の整形外科のほか、デイサービスセンター、リハビリ施設、マッサージ院等、様々な医療介護施設を運営している。これらの連携はもちろんのこと、地域の他法人との連携も積極的に推し進めている。
そこで野口が見ているのは、これからの時代のサステナブルな医療だ。

野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長

「病ではなく人を診る医療とは、患者様の将来まで見る医療です。いまお困りのことだけでなく、将来直面するであろう悩みに先んじて手を打っていく。そのための医療介護の連携です。それが超高齢化時代のあるべき姿だと思うんです」

こうしたモデルに惹かれて入ってきた医師が、やがて地方へ行き、同じ志で開業する。それはいわば“おはなぽっぽモデル”の全国展開。奄美島で開業したいという野口の夢は、そんな“野望”の一環でもあるのだ。

「50代の看護師の息子が将来は検査技師になりたいと、高校の春休みにアルバイトに来ました。その姿を見た看護師は、家では想像できないくらいしっかりと働いていると喜んでいました。そんなふうに親子で働ける医療法人ってステキじゃないですか。親から子へと、おはなぽっぽの思いが受け継がれていく、それもサステナブルな医療だと思うんです」

野口泰芳/薬師台おはなぽっぽクリニック 院長
  • 本原稿にある所属先、役職等の記載は2022年4月26日現在のものです

薬師台おはなぽっぽクリニック 看護師 募集要項

施設所在地〒195-0073 東京都町田市薬師台1-25−12 メディカルTERRACE内
施設区分診療所
募集職種看護師
募集資格看護師免許
※准看護師不可
※ブランク不問
雇用形態常勤
業務■外来診療の補助
・患者様が安心して通院できるように、診療がスムーズにできる限りお待たせしないように業務進行をお願いいたします

■訪問診療同行
・ドクターの訪問診療に同行して、患者様が安心して施設や自宅で過ごせるよう支援をお願いいたします
・ケアマネや介護職員、施設職員といった関係各所との橋渡し役もお任せします
・患者様が安心して通院できるように、診療がスムーズにできる限りお待たせしないように業務進行をお願いいたします
給与【正職員】 月給 280,000円〜350,000円
・当院の規定に則り支給
・通勤、時間外・残業・土日祝手当あり
募集人数若干名
勤務時間日勤のみ可
月・火・木・金 9:00~12:30/15:00~19:00
水・土   9:00~12:30
給与の備考給与は経験・能力を考慮
交通費全額支給
※試用期間3ヵ月

≪年収例≫
入社3年目 正看護師
年収480万円(月給34万円+賞与2回+諸手当)

試用期間:3か月(雇用条件変更なし)
休日・休暇・週休2日制(毎週日曜定休)
・夏季休暇、年末年始休暇
・有給休暇(初年度より発生)
・その他(出産、介護、育児等)
待遇1回/年、その他福利厚生あり
福利厚生・社会保険完備
・退職金制度(3年以上)
・他市より町田市に転居した場合、住宅手当、引越手当補助有り
・町田市休日当番医の場合、シフトで出勤(手当有り)
・研修補助負担有り
・「ご本人の扶養家族」で18歳未満のお子様がいる場合、一人につき毎月1万円支給します(子ども手当)
休日・休暇・日・祝・土曜午後
・週40時間の勤務です
・土曜日出勤の場合は平日で調整します
社会保険健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険
休日・休暇・日・祝・土曜午後
・週40時間の勤務です
・土曜日出勤の場合は平日で調整します
Web» 薬師台おはなぽっぽクリニック

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責任編集:桑畑 健/ライター:丹後 雅彦/撮影:Satomi (Office Redest)

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