定員に達し次第、応募は締め切りとなります
人と人が支え合う、つなぎ役に
「十五夜のとき、“お月様がきれいだね”ってみんなが集まってきて、そのうちに誰かがお団子を持ってきたりして、気がついたらお月見が始まっていたんです。時間外なのに、ただみんなでお月見をしたいから寄り添っていて、“ああ、これがぐるんとびーなんだ”って思いました」
入職して忙しく仕事に追われて時期に目にしたそんな光景を、上野祥(あき)は振り返る。
看護師だった母親の影響で同じ道に進んだ上野は心臓血管外科病棟に3年間勤務し、心不全や心筋梗塞などで運び込まれてきた働き盛りの男たちが入院を契機に自分の生き方を振り返る姿を傍らで見つめるうちに、人の人生に寄り添う喜びを知る。いったん地元の山形に帰って看護師として病院で働くが、物足りなさを感じ、もっと学べる環境に飛び込みたいと考えて再び関東に。
友人の紹介で「ぐるんとびー」に出会った。
「世界は、人のギフトでできていると思うんです。私は看護師としての専門性を、それを必要とする人のためにギフトとして贈ればいいし、同じように私が必要とするものを誰かがギフトとして私に贈ってくれればいい。そんな支え合いに満ちているのが、私の思う世界」
上野のその人生観は、「ぐるんとびー」の“地域全体が一つの家族に”というビジョンと響き合う。それは「母は、人と関わることが看護師の一番の喜びと教えてくれました」という上野の原点にも通じる。
入職して2ヵ月。「トランス(移乗)の介助がうまくできなかったり、利用者さまをいらだたせてしまったり、落ち込むことも多いですよ」と、上野自身はまだまだ自分が未熟だと感じ、力不足を認める。
「型やシステムにはめるのは圧倒的に簡単です。ルールを決めて“こうしてください”と言えばいいんですから」
だが“お月見だから集まってください”と言うのではなくて、気がつけば自然に寄り添って月を眺めているのが「ぐるんとびー」。極力、ルールにはめようとしないから、常に膨大な情報量を浴びながら限られた時間の中で最適な判断を下さなくてはならない。そこが一番の難しさだが、だからこそ自分の持ち味を発揮することで、そうした難しさは乗り越えていけると信じている。
「みんなで家族のように対話しながら、支え合っていくのが“ぐるんとびー”。私が看護師としての専門性をギフトとして差し出すことで、“ぐるんとびー”らしい訪問看護ステーションを目指せたらと思います。人と人が互いに補っていける、そんなつなぎ役になりたいですね」
※当ステーションの採用担当者が受信いたします
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今の常識を超えていく。そして新しい最適解を創り出す
「毎日がハプニングの連続ですよ。自分の考える“普通”がここでは通用しないんです」
そう破顔するのは事務の佐藤久実子。地元・藤沢市に暮らす一人だ。
以前取得した介護の資格を活かしたいと転職活動をしていたときに見つけたのが「ぐるんとびー」。日本で初めてURの団地の一室を利用した小規模多機能ホームという点に「ワクワクしました」という佐藤は、面接の場で菅原の話に「ココロをわしづかみにされた」そうだ。だが、実際に働き始めてみたら、面接時以上のワクワク感を感じる毎日を過ごすことになった。
例えばどんな? とたずねると、佐藤は「えーとですね」と、多すぎてどれから話そうかと迷うような顔を見せ、「例えば掃除や洗濯です」と続ける。
「掃除や洗濯はスタッフの仕事だというのが私の常識でした。でも、ここでは利用者さまと一緒に洗濯をして畳むし、掃除も一緒にする。窓拭きも、外側はスタッフがやって、内側は利用者さま。外と内でガラス越しに手を重ね、ニコニコ笑いながら窓を拭いているんです。その様子は、衝撃的でしたねえ」
確かに取材スタッフがお邪魔した際も、お茶を淹れて運んでくださったのは、認知症のおばあちゃん。“家族を訪ねてきてくれたお客さんをもてなすのは当たり前”という、ごく自然な振る舞いだった。
介護する側・される側という常識の“仕切り”が、ここにはない。その背景には、スタッフが常に考えをぶつけ合って一番いい最適解を見つけようと磨き合う姿がある。
「例えば『ぐるんとびー』の玄関に靴が散らばっていたとします。靴はちゃんとそろえるのが常識ですよね。でも、そろえたら車椅子が玄関に入れないのでは、と誰かが異を唱えます。それに対し、靴箱を置いてはどうかという意見が出る。あるいは、かえってバラバラのままの方がいいんじゃないか、という声が上がる。いっそ靴は玄関に置かないようにしたら、という提案さえ出ます」
そんなふうに“靴はそろえるもの”という常識に対して「これでいいのか」を繰り返しながら本当の最適解を見つけようとするのが「ぐるんとびー」のスタッフ。
「だからクリエイティブで刺激的。毎日がワクワクするんです」
そう、ここにあるのはクリエイティブな介護。“こうであるべき”という壁を壊し続けているのである。つまり「ぐるんとびー」自体が“ボーダーを超える”存在なのだ。
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ちょっと我慢、そこそこ幸せ――目指すのはそんな社会
そもそもURの団地の一室を小規模多機能ホームにするという日本初の試み自体、常識や普通というボーダーを超えるための挑戦だった。
「前例がない」「リスクは」「誰が責任を取るのか」といった具合に関係者間でのすったもんだは、予想されたこととは言え、やはり大きな壁だった。総論賛成、各論反対はこの国が新しいことを始める際にいつも持ち上がるお約束。
「それが、素晴らしいことに関係各所の足並みが偶然にもそろったんです。まるで惑星大直列。『ぐるんとびー』は、そんな恵まれた形で出発することができました」と菅原は振り返る。
「ぐるんとびー」といういっぷう変わった名称は、デンマークで広く尊敬される教育者ニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィに由来する。菅原は人生で最も多感な中学高校の6年間をデンマークで過ごしたことで、“世界一幸せな国”の価値観を全身で吸収した。
「困ったら誰かが助けてくれるのが当たり前、という価値観です。だから社会的安心感が強く、とても生きやすい」
ひるがえって日本は、どうか。
「昔の長屋では、お互いにちょっとだけ我慢することで、そこそこ幸せな生活ができていました。その文化が根っこにあるんだから、例えばこの大庭地区3万4000人の街全体で“ちょっと我慢、そこそこ幸せ”という全体最適の幸せのシステムができるのではないかと思うんです」
それが、菅原の「ぐるんとびー」の発想の原点だった。
「ぐるんとびー」の理念「誰もが当たり前に人生の小さな幸せを得られる社会」には、まさにそんな想いが込められている。
高齢化率80%を超える駒寄団地の居室に開設された「ぐるんとびー」。菅原のほか、スタッフや利用者も同団地内に移り住み、同じ団地でともに暮らすようにして、団地全体を助け合いの拠点のようにしている。
「ぐるんとびーの原点でもあるデンマークのメディアからも取材が来るようになり、そして今年の5月には一週間以上に渡り、スタッフと一緒にデンマークに研修旅行に行きました。来年もスタッフと一緒にデンマークに行き、デンマークの福祉を学びながら交流を深めていく予定です。」
特筆したいのは、小規模多機能ホームの49%は赤字と言われる中で、確実に収益を上げていることだ。その理由を問うと、菅原は「人間関係、信頼関係ができると生活が安定し、支えるためのマンパワーが不要になる」とヒントをくれた。つまり利用者に深く“踏み込む”ことで利用者との信頼関係を早期に築くことができ、事態に先手を打つことができるということだろう。また、佐藤が紹介してくれたように、利用者も一緒に仕事をこなすことも、マンパワーの得がたい一助となっているかもしれない。
取材に訪れた日、「ぐるんとびー」では大きなテーブルを卓球台にして、利用者がピンポンに興じていた。
笑い声に包まれたその空間は、「ぐるんとびー」自体が上野の言う“ギフト”なのだと教えてくれた。
- 本原稿にある所属先、役職等の記載は2018年5月30日現在のものです
- 定員に達し次第、応募は締め切りとなります
ぐるんとびー訪問看護ステーション 募集要項
施設所在地 | 藤沢市大庭5529-7キャセイアークヴィラⅢ-102 |
病院区分 | 訪問看護 |
募集資格 | 正看護師 |
雇用形態 | 日勤(常勤) |
勤務先・担当業務 | 訪問看護/小規模多機能型居宅介護 ※第6回 かながわ福祉サービス大賞 大賞受賞 |
業務 | 1日訪問件数:4~5件(訪問エリア:藤沢市全域および周辺地域) 1回5件以上を希望する場合は収入増も可能 ※その他補足事項:自動車通勤応相談 |
募集人数 | 3名(2018年6月時点) |
給与 | 正看護師 日勤(常勤)の場合 月収:292,500円~424,000円 年収:3,510,0000円~5,088,000円 ※オンコール手当を入れた参考モデルです ※給与は能力・経験によって変わるので、ご相談ください |
勤務時間 | 8時30分~17時30分(休憩60分) |
休日・休暇 | 週休2日制(4週に8日の休日) 夏季休暇、年末年始休暇/年間休日114日 |
福利厚生・諸手当など | 通勤交通費:通勤手当支給(但し2万円/月上限あり) 引越し手当:10万円支給(湘南大庭地区への転居に限る) 子供と通勤が可能な場合もあり 夕食補助あり(1食 大人500円、こども100円) 年に1回のデンマークへの費用は会社負担の研修旅行あり(希望者のみ) 団地内に複数のスタッフが居住しており様々な助け合いがあります |
社会保険 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険 |
Web | » ぐるんとびー公式サイト » ぐるんとびー訪問看護ステーションFacebookページ » 株式会社ぐるんとびーFacebookページ |
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